第1章:基本情報~家パチをやってみよう~

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まず、パチンコという装置自体の仕組み・構造を見てみましょう。

内部構造について

 パチンコは大きなパソコンです。へそに玉が入ったのを検知して、抽選をして、演出をして、当たっていれば玉を出す。この流れが基本です。パチンコのパソコンとの1番の違いは、保通協の検査を通すために、「抽選をする」基板と「演出をする」基板と「玉を出す」基板を独立させるさせる必要があることにあります。そしてそれぞれの基板は次のように呼ばれます。

 ・「抽選をする」主基板

 ・「演出をする」演出基板

 ・「払い出しをする」払出制御基板

各基板のつながりは以下のようになります。

ameblo.jp

 

へそ(第1始動口)に入る

   →主制御基板が検知

   →抽選結果を計算

   →演出基板が演出

   →玉を払出

これが基本でその他に、役物を動かしたり、右打ちできるように入り口を開いたりします。

 

実際のパチンコ台を見てみましょう

 この写真はDaiichi様「ひぐらしのなく頃に~憩~」の裏面です。複数の基板が並んでいるのが見て取れます。

 左側のa「玉カウンター」は大当り時に玉を出したり、玉貸しを押すと動いて玉を上皿に出してくれます。a「玉カウンター」はd「払い出し制御基板」で制御されています。例えば、d「払い出し制御基板」から「1500発上皿に払い出して」という司令がa「玉カウンター」に下り、玉を出すという仕組みになってます。

 e「メイン基板」は抽選をします。1/99.9に当選しているかどうかみたいなくじ引きですね。ゴトや不正で狙われるのもこの基板です。役物の制御等も行っているのでたくさん配線が繋がっています(黄色い太い線で役物等のコネクタと接続している)。

 b「液晶制御」で正面のモニターの演出を写します。

 cCRアダプタ」は後ほど説明します。

 実際に見てなんとなく構成が見えてきたでしょうか。

 この写真は平和様「戦国乙女~Legend battle~」の裏面です。この場合でもほとんど構成が変わらないというのがわかると思います。なんとなくわかってしまえば、その他の台でも詳しく分解せずともどれがどれかひと目でわかります。

 

保通協について

 ではなぜ違うメーカーなのにほとんど構成が同じになっているのでしょうか。これは以下の3つの目的があります。

  1. 保通協の検査を通すこと
  2. 改造等が加えられてもすぐわかるようにする
  3. セル盤と台枠に分けるため(後述)

 かつてはパチンコに対してゴト・不正・遠隔を狙う集団が存在しました。内部の基板をいじったり・プログラムを改ざんしたり様々な歴史とともに歩んできたのです。その中でルールが作られていきました。例えば、主基板の回路は表裏配線のみ、表面実装IC禁止、CPUプログラムメモリの制限、CPU内部ROMが読めないような対策、などです。これらの工夫の中でパチンコという装置の構成がメーカー・保通協間で共通化していったのです。

詳しくは下記リンクが面白いです。

https://swest.toppers.jp/SWEST24/program/pdfs/s1b_public.pdf

 

セル盤について

パチンコ台の機械的な構成は「台枠+セル盤」です。

  • 台枠:
    • ハンドル
    • エア
    • 玉発射装置
    • ガラス面
    • 外枠
    • 電源回路
    • 払い出し基板
    • 玉カウンタと玉補給口
    • 外部端子
  • セル盤
    • 主基板
    • 演出基板
    • 役物
    • 釘盤面


 台枠とセル盤は簡単に取り外すことができます。ロック2箇所を回して引っかかってる部分を逃げるように引き抜くことで取り外せます。

 色々な機種で台枠を使い回すことができるように設計することには次のようなメリットがあります。

  1. 台枠設計費用を削減し、役物設計・演出設計に集中できる
  2. ハンドル・ボタン等は機種間で統一していても問題ない
  3. 台枠を持っているお客さんに対し、セル盤単体を一式より安く販売できる
    • 安く売れる=買ってもらいやすい
    • セル盤は小さいため輸送しやすい
  4. ハンドル・ガラス面等が壊れても、台枠を変えるだけで修理が完了する

以上のメリットから、ほとんどのメーカーは色々な機種があっても台枠は共通になっています。サミーのエイリヤンが特にわかりやすいですね。

 

流通鍵

 一般的にパチンコの鍵と呼ばれるものには2種類あります。流通キー設定キーです。

 流通キーはオムロック(商品名)という鍵の一種です。

http://ixzy.jp/pdf/equipment/omlock.pdf

 名前の通り「OMRON」が製造しています。余談ですがパチンコの玉通過センサー等にもOMRONの製品はよく使われています。パチンコ業界と実はズブズブです。

 オムロックには有用な特徴があり、キーシリンダー側のボタンを押すことで鍵の形状を覚えさせることができます。こうすることで鍵を変えてもシリンダーを変えずに鍵をかけることができます。パチンコ台を個人向けに売る場合には「流通キー」の形をシリンダーに覚えさせて販売します。そうすることで、流通キーと呼ばれる鍵を1つ持っていれば個人向けに売られている全ての台を開けることが可能になります。もちろん、店では「店専用キー」コードが設定されているため流通キーでは開きません。

流通キー

設定キー

 設定キーはパチンコのRAMクリアや設定変更をするために必要な鍵です。パチンコ台背面に鍵穴があり、そこに設定キーを差し込み、回した後、電源を入れることで設定を変えることができます。

 この鍵はメーカー・種類ごとに違うものが使われているため、必要となった場合はその台の設定キーを調べて購入する必要があります。その場合はP-NOTEというサイトで調べるのがおすすめです。

 設定がないパチンコなら要らないよねと思うかもしれませんが、RWMエラーという主基板のメモリ内容によるエラーが存在しており、設定キーがないとRAMクリアができず、エラー解除ができない場合があります。

設定キーと差込口

CRアダプタ

  全ての台にはCRユニットを接続するための接続口はついています。CRユニットは何かと申しますと、台の左側にお金をいつも入れると思うのですが、そこの縦長の部分をCRユニットと言います。役割はお金管理・カード管理と玉貸です。

 CRユニットのお金をサンドに入れた情報はCRアダプタを通してパチンコ台に伝わります。逆にパチンコ台の玉貸しボタンを押した情報はCRユニットに伝わり、お金を使ったことになります。

 マイホのCRユニットは「マース戦略CRユニット/メダルサンドユニコン」という商品でした。よく見るCRユニットはほとんど「マースエンジニアリング」という会社が作っています。

 CRユニットが接続されていないとパチンコ台はエラー状態になります。家パチをする場合は現金を入れることはないのでCRユニットは不要ですが、パチンコ台にはCRユニットが接続されていると誤認識させる必要があるのです。そこで登場するのが、CRアダプタのダミー接続口です。メルカリ・ヤフオク等で500~1000円ほどで販売されています。内部は非常に簡単なため、自分で作ることもできますが、材料費と労力を考えたら普通に買ったほうが楽だと思います。

 

CRアダプタ

購入について

中古機の費用

 パチンコ台を買う際の価格はピンキリです。ヤフオク・メルカリ・A-Pachinko等で販売されています。A-PACHINKOの場合は高いですが、色々なオプションが付けられたり、安全でおすすめです。私はヤフオクで買いました。

ヤフオク販売例

 ヤフオクで買う場合は送料に注意してください。また、架空通販サイトも複数存在します。メルカリの商品ページの写真をそのまま使って商品ページを作っていたりします。安く設定されているためおっこれは?となりますが、振り込んでも商品が届くことはありません。ヤフオク・メルカリを使うのが安全です。メルカリの場合は直接受け取りのみ設定の方も多いので買う前に確認したほうがいいでしょう。流通キーは500円・設定キーは1000円程度です。

 パチンコ台はAC24V動作です。100Vでは動かないためトランスが必要になります。家パチ用として売られている台には、トランスを最初からつけてくれている場合が多いです。ない場合は追加で買う必要があるので注意してください。「セル盤のみ」という売られ方もあります。これはパチンコの玉に関する部分がない、台枠から外したものです。セル盤のみでは遊べないので注意してください。

 

購入後について

本体重量が30kg近いので家財便での輸送の可能性が高いです。私の場合はヤマトホームコンビニエンスで送っていただきました(よく調べたら、ヤマトホームコンビニエンスでパチンコ台の受け入れはしてない?)。非常に重いため玄関まで運んでもらったあと、台を立たせたりする際には床を傷つけないよう注意してください。ほとんどの台は本体のみだと不安定です。台の左右にサポートをボルト止めするなどして安定性を上げる必要があるでしょう。

 本体が重い影響で置き場所を移動させるのが大変です。私は、平台車2個を下に置くことで動かしやすくしています。机に載せようとする場合は、机が40kgは耐えられる必要があるので注意しましょう。

捨て方

 液晶が生きていて、ある程度遊べる状態であればフリマアプリで売るのが一番でしょう。動かない場合は廃品回収業者等に依頼するか、分解して捨てるかです。台枠とセルで分けて、基板系は燃えないゴミ、ガラス窓は割って細かくしてガラスとして廃棄、台枠等のプラ系は分解して細かくし、液晶はリサイクルセンタ、結構分解して捨てるのは可能そうです。

 リサイクルセンタで回収してくれる場合もありますが、大抵は受け入れ不可です。業者に依頼する場合は5000円~1万円かかることを覚悟しましょう。まぁ、液晶を破壊さえしなければ、フリマで売れると考えて問題ないです。ただ、現状配送方法としてヤマトホームコンビニエンス・佐川急便の対応が終了しています。おそらく、現状受け入れてくれる業者はほぼない可能性が高いです。ただし、ヤフオク等で販売している方の配送方法を確認すると大抵はヤマトになってます。自分が買った際もヤマトホームコンビニエンスでした。本体丸々配送すると重すぎますが、表扉・セル・裏盤・台枠の4つに分解して配送すれば、受け入れてくれる可能性が高いです。セルは壊れやすいので注意がいります。ただ、購入者に知識が必要なので、買い手が限られる点に注意してください。

 捨てるのは購入するより大変というのは確実です。それでも案外なんとかなります。あまり気負わずに試しても私はいいかなと思います。

 

次回

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