クント管:気柱共鳴現象可視化装置の製作

科学館等でよく展示品になっているクント管を自作しました。

音の共鳴がそのまま、発泡スチロールビーズの動きとして確認できる装置です。

総製作費:7000円ほど(アクリル管3800,発泡ビーズ1100,スピーカー300,L298N-Arduino600,光造形レジン1000,木材500)

製作したクント管

www.youtube.com

 

原理

下の図をまず見てほしいです。

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https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%B3%E3%83%88%E7%AE%A1

スピーカーから出た音が閉管の壁で反射し、定常波を産んでいる様子です。

  1. スピーカから音を出す
  2. 壁で音が反射
  3. 2つの音により定常波が発生する。

音というのは空気密度の変化です。空気密度が高いというのは、空気分子がたくさん集まっているということです。今回は空気と一緒に発泡ビーズが気柱に入っています。空気密度の強い部分に発泡ビーズが集まり気柱内の密度分布が可視化されるというわけです。

 

小さな山

製作したクント管

実験の様子と下の詳細図を見てわかるように、定常波の振幅の他に小さな壁が連続して存在するのがわかります。

詳細図

この、壁同士の幅は粒子の大きさに依存し、周波数によらないものだそうです。

www.jstage.jst.go.jp

また、上の説明では空気密度分布の差と説明しましたが、この論文では空気粒子速度の分布で起きていると説明しています。

設計

パイプ長さの選定

まず、空気中の音速が340m/sであること、

共振状態は下の図のように0.25λ , 0.75λ  , 1.25λ ,・・・と管の長さが一致したときに起きる。

共振と波長

f[Hz]の音の波長λ は340/f[m]である。

管の長さを50cmにした場合、0.25λ 共振での周波数は

0.25*340/f  = 0.5 より、f=170Hzとなる。以上を繰り返すと以下のように求まる。

共振周波数

パイプの長さが長いほどパイプの値段が上がりますが、50cmでも十分可能であると言えるでしょう。長いほど、見栄えがいいという点もありますが。

 

 

3826円で購入。

 

はざいやで1m-Φ10cm-厚さ2mm が5894円なので、ここで買うのもありです。

www.hazaiya.co.jp

 

発泡ビーズの購入

 

1100円で購入。

 

ビーズクッションが使えるという情報などもありました(試していない)

DAISOの発泡ビーズ6mmはでかすぎて無理がありそうです(買ってうまく行かなかった。しかし、スピーカーの出力が足りなかっただけの可能性もあるため断定はできない)

自分で発泡スチロールを砕いてやろうと最初はしましたが、買ったほうが安上がりな上に確実です。

 

スピーカーの選定

周波数特性などもホントは考慮すべきですが、とりあえず出力W数が高いものを使えばうまくいくと思います。Hard offでコンポのスピーカーのみを300円で購入して分解して使いました。古いやつだとスピーカーがの振動板が割れているものもあるので買う前にチェックしましょう。

 

スピーカーアンプ

モータードライバL298NをPWM制御して正弦波出力にしました。

ON,OFF方形波でもうまくいきます。前述の通り正弦波のほうが3倍音以上の混入が抑えられ、防音になります。

(追記)書きながら思ったのは、コンポの方も買ってきて、Sin波音声を再生するほうが楽だったかもしれないです。

 

製造

fusion360でモデル設計

光造形プリンターの導入テストも兼ねて、ジグはすべて光造形しました。

透明度がいい!造形精度高い!

管理が面倒なのを差し引いても買ってよかったです。

土台の木を適当に糸鋸で切って作っていきます。

makitaの糸鋸

糸鋸すごい便利、そこまでうるさくない。

 

そんなこんなで完成!

スピーカに加える電圧を上げていくと発泡ビーズが動きはじめ、更に上げていくと前述の動画のような振動が確認できました。

一方で結構音がうるさくて隣人トラブルになりそうです。音漏れ対策に油粘土で埋めたり、スピーカー本体を木で囲っています。木の箱の上に発泡スチロールで覆ってみたりしましたが意味がなかった。

 

まだ、うるさかったので、更に囲うように箱をつけました。

まだ、部屋で鳴らすにははばかられる音がでます。

ちなみにスピーカーと発泡ビーズの仕切りには排水溝カバーを使っています。

防音対策は今後ということにして一度切り上げました。